君に翼を

最近、一人でも寂しいという感覚はない。

もちろん愛する我が子が二人とも県外の大学へ進学して手元を離れたので、それなりに寂しいとは思うけれど、だからといって、エンプティネスト症候群になりそうかと言えば、どうもそうではなさそうだ。

よく二人とも外へ出したねと言われるんだけど、わたしが寂しいからこどもを手元に置いておく、というのはわたし的にはない。

こども達の人生はこども達のもの。

わたしのものじゃない。

わたしができるのは、この先彼らが自分が思うとおりの人生を生き抜くための最初の力を与えてやること。

わたしは、親元にいろ、と言われて、結局ずっと地元にいる。

今となっては、親も年をとってきたので、余計に近くから離れられずにいる。

もし、と考えるのは嫌いだけど。

もし、あの時、自分の行きたいところへ行けと言われていたら、わたしの人生はまた違っていたかもしれない。

誤解があるといけないので、念のため言っておくけど、それは、今の人生を後悔しているということではない。

自由にどこへでも行けた、そういう人生も楽しかっただろうな、ということだ。

だから、わたしは、こども達をわたしに縛りつける枷をつけまいと思った。

お金の問題があるので、そこはまあ仕方ないとして、精神的には、どこへでも行って、好きなことをすればいい。

こども達の人生は、こども達のものだ。

どこへでも飛んで行ける翼を持つ自由を、こども達に与えたいと思った。

自分の力を思う存分試せるように。

それがどういう結果になるかはわからない。

うまくいって、万々歳かもしれない。

時には、親の庇護の元で生きていく人生より辛いこともあるかもしれない。

それでも、やらなかったことを悔い続ける人生より、やりたいことをやって力及ばず涙することになっても、そっちの方がいいと思う。

だって、成功するか、失敗するかなんて、やってみないとわからないんだから。

失敗したら、また立ち上がったらいい。

何度でも、何度でも。

大丈夫だから。

ずっと見てるから。

そばにいなくても、いつも君たちの幸せを祈っているよ。

タイトルとURLをコピーしました